
変化に逆らわず、柔軟に対応する生き方
Living with flexibility and not going against the winds of change.

選字の背景: 秋の訪れを告げる風が吹き始める頃。変化を受け入れる心の姿勢を学ぶ。
九月に入り、あれほど猛威を振るった夏の暑さも、朝夕にはふと和らぎ、涼やかな風が頬を撫でるようになります。この「風」は、季節の移ろい、すなわち万物が常に変化し続けるという宇宙の真理(諸行無常)を、私たちに肌で感じさせてくれる存在です。
禅語に「柳に風」という言葉があります。柳の枝は、強い風が吹いても、それに抵抗して折れることなく、巧みに受け流し、風がやめばまた元の姿に戻ります。この柳の姿は、禅が理想とする生き方の一つの象徴です。詩が示すように、真の「強さ」とは、何事にも屈しない頑固さや剛直さではなく、あらゆる変化や困難を柔軟に受け入れる「しなやかなる魂」のことなのです。
私たちは、自分の思い通りにならない現実や、予期せぬ変化に直面すると、つい抵抗し、心を固くしてしまいがちです。しかし、それは自らを苦しめるだけです。風の如く、雲の如く、水の如く、執着することなく、変化の流れに身を任せる。その「柔軟心」(にゅうなんしん)を養うことこそ、予測不可能な現代を生きる私たちにとって、最も必要な強さなのかもしれませ。