黙 – MOKU –

黙 MOKU もく 家禅 IEZEN.JP

言葉を超えた沈黙による真理の伝達

A wordless transmission of truth through silence.

雷鳴よりも雄弁な 春の蕾の沈黙 真の説法は 言葉なきところにあり

選字の背景: 週の始まり。言葉に頼りすぎず、静かに行動することの重要性を思う。

「黙」とは、一言も発しないことです。しかし、それは単なる無言や空虚を意味しません。禅において、「黙」は、言葉では表現し尽くせない究極の真理を伝える、最も雄弁な方法であると考えられています。維摩居士(ゆいまこじ)が、究極の真理を問われてただ沈黙を守った「維摩の一黙」は、雷鳴の如く響き渡ったと伝えられます。

詩は、その沈黙の力を、春を待つ蕾の姿に託しました。固く閉ざされた蕾は、何も語りませんが、その内には、やがて満開の花を咲かせるための、生命のエネルギーが満ち満ちています。その静かなる存在感は、どんな大声の演説よりも力強く、生命の真実を物語っています。

私たちは、自分を理解してもらおうと、つい多くの言葉を費やしてしまいます。しかし、言葉は時に誤解を生み、本質を覆い隠してしまうこともあります。大切なのは、言葉の多さではなく、その人の在り方そのものです。誠実な行動、揺るぎない姿勢は、百の言葉よりも深く人の心を打ちます。週の始まりである今日、あれこれと語る前に、まずは自らの内を静め、為すべきことを黙々と行う。その沈黙の実践こそが、最も信頼される自己表現となるのです。

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