足元を見つめ、自己を深く見つめ直す(脚下照顧)
Look down at your feet, and look deeply into your self.
選字の背景: 月末、そして新たな月へ。自らの足元をしっかりと見つめ直す日。
「己」とは、自分自身のことです。私たちは、問題が起きた時や、人生がうまくいかない時、その原因を外部の環境や他者のせいにしがちです。しかし、禅の教えは、常に、問題の根源を自らの内に見出すよう促します。
禅寺の玄関でよく見かける言葉に「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)があります。これは、「自分の足元をよく見なさい」という意味です。文字通りには、履物を揃えなさい、という戒めですが、その真意は、外に目を向ける前に、まず自分自身の行いや心のあり方を、きちんと省みよ、という教えです。
詩は、この「脚下照顧」の精神を詠っています。私たちが探し求める「答え」は、遠いどこかにあるのではなく、常に自分自身の内にあります。そして、そもそも、何を問うべきかという「問い」そのものも、自らの内から発せられなければなりません。私たちは、他人の生き方を羨んだり、世間の価値観に流されたりして、自らの「足元」がおろそかになっていないでしょうか。今月も残すところあとわずか。新たな月を迎える前に、この「己」という一文字と静かに向き合い、自分自身の現在地を、正直に見つめ直す時間としたいものです。