霜 – SIMO –

霜 SIMO しも 家禅 IEZEN.JP

人生の厳しさの中に、凛とした美しさを見出す

Finding dignified beauty in the harshness of life.

選字の背景: 人生の厳しさという霜が、心を凛と輝かせる。

朝晩の冷え込みを感じるようになると、各地から初霜の便りが聞かれるようになります。夜の間に冷え切った大気が、夜明け前、地上にあるもの全てに、白い結晶の衣を着せる。その朝の、空気が玻璃(はり)のように澄み渡り、万物が静まり返った光景は、時に息を呑むほどに美しく、私達の心を捉えて離しません。「霜」は、冬の厳しさの訪れを告げ、草木を枯らす厳しい自然の側面を持ちます。しかし、それと同時に、この世ならざるような、凛とした、はかない美の世界を現出させます。この教えは、人生における困難や悲しみを、この「霜」に喩えているのでしょう。それらは、私たちの心を凍えさせ、時には希望という芽を枯らしてしまう、厳しいものです。しかし、その厳しさを経た心にしか宿らない、静かで、強く、そして透き通るような美しさが確かに存在するのだと、この教えは示唆しています。人生の厳しさをただ嘆くのではなく、その中に隠された、霜の結晶のような美しさを見出すこと。その眼差しを持つとき、私たちの心は、より深く、豊かになるのかもしれません。

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