識 -SIKI-

識 SIKI しき 家禅 IEZEN.JP

知識を知恵へと転化させる内なる働き

The inner process of transforming knowledge into wisdom.

選字の背景: 知識を内で醸し、自らの知恵へと昇華させる。

昨日は「読」という文字について想を巡らせましたが、書を閉じた後、その学びは終わりではありません。むしろ、そこからが、この「識」という、静かで、そして最も大切な働きが始まるのです。「識」という文字は、言葉(言)をただ受け取るだけでなく、それを心の中で織り上げ、自分自身のものとして深く理解することを示します。知識とは、外から集めた、いわば素材です。しかし、その素材を、自分自身の経験や思索という火にかけ、じっくりと時間をかけて消化して初めて、それは生きる力となる「知恵」へと昇華します。この、素材を滋養へと変える内なる錬金術こそが、「識」の働きなのでしょう。情報をただ集めるだけでは、頭でっかちになるばかり。その知識を、いかに自分自身の人生の中で生きたものへと変えてゆくか。その静かな内なる営みこそが、人を真に豊かにするのだと、この一文字は教えてくれます。

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