錦 -NISHIKI-

錦 NISHIKIにしき 家禅 IEZEN.JP

輝きは単色にあらず。多様性が織りなす美

Brilliance is not monochromatic. Diversity is the beauty.

選字の背景: 様々な色が響き合い、世界という錦は織られる。

紅葉が進んだ山々を見上げると、赤、黄、橙、そして常緑の緑とまさに「錦秋(きんしゅう)」の言葉通り、息を呑むような美しさを見てくれます。「錦」という文字は、金(きん)と、布(帛)を組み合わせた形です。それは、金糸銀糸、紅(くれない)や藍(あい)、様々な色の糸を複雑に織り込み、この世の美の限りを尽くした、豪華絢爛な織物を表し、その錦の美しさを借りて、世界の真理を説いています。もし、あの織物が一色だけで織られていたなら、これほどまでに私たちの心を打つでしょうか。赤は赤の、金は金の、緑は緑の、それぞれ異なる輝きを持つ糸が、互いの違いを主張し、時にはぶつかり合い、しかし全体として一つの見事な模様を織りなす。そこにこそ、単色では決して生まれ得ない、深く、豊かな美が宿るのです。私たち人間社会もまた、この一枚の錦のようです。一人ひとりが持つ個性(色)は、皆違います。その違いを無理に塗りつぶして一色に染めようとするのではなく、それぞれの色の違いを認め、尊重し合う。その多様性こそが、世界をこれほどまでに豊かで、味わい深いものにしているのではないでしょうか。

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