
人智を超えた、不可思議で絶妙なる真理
A mysterious and exquisite truth that transcends human understanding.
選字の背景: 理屈を超え、ただ感じる、奥深く清らかな心の働き。
木々の葉もすっかりと散り始め、枝先が冬の空へと伸びる姿に、一種の「妙」なる美しさを感じます。「妙」という文字は、「女」と「少」から成り立っています。それは、若々しい女性の美しさとも、あるいは「少ない」、つまり言葉や形になる前の、かすか(少)で繊細な心の働き(女)とも解釈できます。この教えは、まさにその言葉になる前の、純粋な心の働きそのものを「妙」と捉えています。私たちは、願いをすぐに「あれが欲しい」という具体的な言葉にしてしまいます。しかし、その言葉が生まれる遥か手前、心の奥底で、ただ純粋に「善くありたい」と願う、清らかな衝動のようなもの。それが「妙」なのでしょう。禅で言う「分別以前(ふんべついぜん)」の、本来の自己の働きにも通じます。それは、理屈や言葉では到底つかまえることのできない、奥深く、ただ有り難い働きです。私も、筆を持つ直前、その「妙」なる静けさに心を委ねます。上手く書こうという我(が)を超えた時、線は思いがけない、人知を超えた輝きを放つことがあります。