冬 -FUYU-

冬 FUYU ふゆ 家禅 IEZEN.JP

万物が内にエネルギーを蔵する静寂の季節

A season of silence where all things contain energy.

選字の背景: 静寂の中で、次なる春へのエネルギーを蓄える。

11月に入り、吹く風はいよいよ「立冬」の冷たさを帯びてまいりました。地上の色彩は失われ、万物が活動を止める、静寂の季節の始まりです。「冬」という文字は、一年の「終わり」と、万物を凍らせる氷(冫)を象徴しています。一見すると、それは生命の停滞や、終わりを意味するように感じられます。しかし、この教訓は、その静かな表面の下に隠された、大いなる真理を教えてくれます。冬は、決して「無」の季節ではありません。木々は、その幹や根の奥深くに、次なる春に芽吹くためのエネルギーを、今この瞬間も、じっと蓄え(蔵し)ています。大地の下では、種が目覚めの時を待ち、あらゆる生命が、内へ、内へとその力を凝縮させているのです。それは、私たちが坐禅を組む時間にも似ています。外へ向かう活動を止め、ただ静かに内側を見つめることで、私たちは生きるための根源的な力を、心の奥底に蓄えることができます。この「蔵」の時なくして、春の躍動はありえません。この一文字が、冬の静寂の中で、ご自身の内にある温かな力に気づく、豊かなひとときとなりますように。

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