息 -IKI-

息 IKI いき 家禅 IEZEN.JP

呼吸を調えることは、心を調えること

Regulating your breathing is regulating your mind.

選字の背景: 心を調えんとせば、まず息を調えよ。息は心の手綱なり。

冷たい空気を深く、静かに吸い込むとき、私たちは自らが「生きている」ことを、何よりもまず、この「息」によって実感させられます。「息」とは、まさに「自分自身の心」そのもの。それが、呼吸という形になって、私たちの内と外を行き来しているのです。心が焦りや不安で波立つとき、私たちの息は浅く、速くなっています。逆に、心が深く静まり返っているとき、息はどこまでも深く、穏やかです。心と息は、決して分かつことのできない、一つのものなのです。禅の坐禅において、まず「調息(ちょうそく)」、すなわち呼吸を調えることから入るのは、このためです。心という奔放な馬を直接つかまえようとするのではなく、その手綱である「息」を、丁寧に、深く、静かに調えてゆく。そうすれば、心は自ずから、その穏やかな息に寄り添い、静まってゆくのです。

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