独 -DOKU-

独 DOKU どく 家禅 IEZEN.JP

孤独に耐えるのではなく、独りを深く味わう

Instead of enduring loneliness, savor it deeply.

選字の背景: 独りを恐れず。己の内なる宇宙と深く向き合う。

木々が葉を落としきった景色は、どこか「独り」の静けさを湛(たた)えております。私たちは、つい「独り」であることを、「孤独」という寂しさや欠乏として捉えがちです。群れから離れることを恐れ、絶えず他者との繋がりや、外からの刺激を求めてしまいます。しかし、この教訓は、その「独り」の時間こそが、自分自身と深く出会うための、最も豊かで、贅沢な時間なのだと説いています。「孤独」に耐えるのは、他者との比較や、外側に向いた心です。対して、「独りを味わう」とは、自己の内側にある宇宙に、深く満ち足りること。禅の修行である坐禅も、究極的には「独り」の行いです。私が夜半過ぎ、墨を磨(す)り、一枚の和紙に向かう時間。それは、世界でただ「独り」になる時間です。その静寂の中でこそ、心の奥底にある声が聞こえ、筆先は研ぎ澄まされてゆきます。独りであることは、何かが足りないのではなく、むしろ、自分自身で満ちている、完全な状態なのです。この冬の静けさの中、あえて「独り」を深く味わうひとときが、あなたの内なる豊かさを照らし出すことでしょう。

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