
与えることで自らも恵まれる、利他の精神
The spirit of altruism: Giving and being blessed.
選字の背景: 見返りなく与える喜び。それが真の恵み。
葉を落とした木々に、冬の訪れと静けさを感じます。しかし、その葉を落とした枝は、春に新たな芽を「恵む」ための力を、今、静かに蓄えています。「恵」という文字は、他者に差し伸べられる、豊かな心(心)の在り方を表しているかのようです。私たちは、つい「恵み」とは、外から与えられるもの、受け取るものだと考えがちです。しかし、この教訓は、その真理が逆にあることを教えてくれます。禅の行いである「布施(ふせ)」とは、単に物を施すことではありません。自らの持つものを、見返りを求めずに手放す行いです。不思議なことに、その手放した瞬間に、心は「持たなかった時」よりも、遥かに豊かに、温かく満たされていることに気づくのです。与えることで、心に「欠乏」ではなく「豊かさ」が生まれる。その豊かさこそが、自らが受け取る、何よりの「恵」なのです。今こうして筆を持ち、この一文字が誰かの心に届くことを願う。その「利他」の心こそが、私自身を最も深く満たし、支えてくれる「恵」であると感じております。