
伝統や命を、敬意をもって次代に継承する
Passing on traditions and life to the next generation with respect.
選字の背景: 敬意を込め、過去を受け継ぎ、未来へと繋ぐ。
紅葉の季節も進み、すっかりとその葉を大地に還した木々も目に付くようになってきました。しかし、その一見枝だけになった木々の幹や根の中では、来年の春へと向かう命が、途切れることなく「継承」されています。この冬の静けさは、次代へと渡すための、大いなる準備の時なのです。この「継」という文字は、「糸」と、連なることを示す部分とで成り立っています。それは、一本の細い糸が、決して途切れることなく、次の糸へと連なり、やがては丈夫な布や、美しい綾を織りなしてゆく様を表しています。伝統とは、古きものをただ保存することではありません。先人たちが、その命を削って磨き上げた「技」や「心」という糸を、私たちが「敬意」をもって受け止める。そして、その糸に、私たち自身の「今」という糸を撚(よ)り合わせ、より強く、より美しくして、次の世代へと手渡してゆく。その厳粛な営みこそが、「継承」です。命もまた、然り。この「継」という一文字に、自らの役目と、その責任の重さを、改めて深く心に刻みます。