生涯をかけ、果てなき道を歩み続ける
Dedicating my life to walking an endless road.
選字の背景： 涯（はて）なき旅路。一生をかけ真理を追う。
中国の古典『荘子』に「吾が生や涯（がい）あり、而（しか）して知や涯なし」という言葉があります。人の命には限りがあるが、知や真理の道には果てがない、という意味です。私がかつて志していた競技の世界には、明確なゴールがありました。しかし、今身を置く書や禅の道には、ゴールはありません。昨日より良い線が書けたと思っても、翌日にはまた、その先の景色が見えてくる。地平線（涯）に向かって歩けば歩くほど、地平線もまた遠ざかってゆくのです。この「涯」という字を見るたび、その「果てなさ」を絶望と捉えるのではなく、一生をかけて追い求め続ける「喜び」とせよ、と説いているように感じます。到達することだけが目的ではありません。その遥かなる道の一歩一歩を、命尽きるその瞬間まで、焦らず、急がず、しかし止まることなく踏みしめ続けること。その歩みの軌跡こそが、あなたの「生涯」となるのです。