談 -DAN-

談 DAN だん

沈黙と同様に、心を開いた対話もまた修行

Like silence, open dialogue is also a discipline.

選字の背景: 言葉は心の火。「談」とは互いを温め合う修行。

師走の夜、囲炉裏の火を見つめていると、この「談」という文字の持つ意味が、炎のゆらめきと共に心に迫ってまいります。「談」という文字は、「言(ことば)」に「炎(ほのお)」と書きます。なんと美しい成り立ちでしょうか。それは、単なる情報のやり取りではありません。火が周囲を温め、暗闇を照らすように、情熱や慈しみという「熱」を帯びた言葉を交わすこと。それが本来の「談」なのです。禅では「不立文字(ふりゅうもんじ)」や「沈黙」を重んじます。しかし、それは言葉を否定しているわけではありません。上辺だけの空虚な言葉を戒めているのです。心を開き、飾ることも隠すこともなく、内なる火を相手に移すように語り合うこと。それは、孤独という闇を払い、互いの心を温め合う、極めて尊い「修行」です。坐禅が静なる行ならば、対話は動なる行。どちらも、真理に触れるためには欠かせぬ両輪なのです。この冬の夜、囲炉裏の火を囲むように、大切な誰かと心安らぐ「談」の時を持たれてはいかがでしょうか。その温かな言葉のやり取りこそが、凍えた心を解きほぐす一番の薬となるはずです。

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