滅-METU-

滅 METU めつ

煩悩の火を滅し、寂静の境地に至る

Extinguish the fires of worldly desires and reach a state of tranquility.

選字の背景: 「滅」とは終わりにあらず。苦しみ消えし寂静の地。

「滅」という文字は、般には「滅びる」「無くなる」という恐ろしい意味で使われますが、仏教においてこの「滅」は、「涅槃(ねはん)」すなわち、苦しみが消え去った、最高の安らぎの状態を指す希望の言葉です。お釈迦様が菩提樹の下で悟られたのは、まさにこの心のありようでした。貪り、怒り、愚かさという、私たちの心を焼き焦がす「煩悩の火」。その激しい炎を吹き消した(滅した)時に訪れる、ひんやりとした静寂(寂静)。それこそが、人が到達できる真の幸福であると。蝋燭(ろうそく)の炎がフッと消えた時、そこには闇ではなく、本来の静けさが戻ります。私たちも、執着や怒りという炎を、智慧の水で「滅」した時、初めてあるがままの世界を美しく映す、鏡のような心を取り戻すことができるのです。冬枯れの景色が美しいのは、過剰な繁茂(はんも)という生命の火が一旦静まり、本質的な静寂が現れているからかもしれません。どうぞ今日という日は、ご自身の心の炎を静かに見つめ、ふっと息を吹きかけるような、安らぎの時間をお持ちください。

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