贈-OKURU-

okuru

真の贈りものとは、真心そのものである

The true gift is sincerity itself.

選字の背景: 形を贈るにあらず。感謝という真心を届ける。

宅配便のトラックが忙しなく行き交い、誰かから誰かへの「贈り物」が運ばれてゆく季節となりました。クリスマスやお歳暮と、人に何かを贈る機会の多い師走において、この一文字は、私たちが包むべき本当の中身を問いかけています。「贈」という文字は、財貨を表す「貝」に、積み重ねるという意味の「曽(そ)」を合わせた形です。これは、単に物を渡すのではなく、そこに自分の気持ちや感謝を「上乗せ」して届けることを意味しています。私たちはつい、贈り物の「中身」―つまり、品物の値段やブランド、実用性といった「形」に心を奪われがちです。「これで失礼にならないか」「喜ばれるだろうか」と。しかし、この教訓は、品物はあくまで気持ちを運ぶための「器(うつわ)」に過ぎないと説きます。器の中に、あなたの「ありがとう」や「お元気で」という純粋な真心が満たされていなければ、どんなに高価な品も、ただの物流となってしまいます。逆に、道端で摘んだ一輪の花や、拙い字で書かれた一枚の手紙であっても、そこに溢れんばかりの真心が込められていれば、それはダイヤモンドにも勝る「真の贈り物」となるのです。私が書を贈る時、紙や墨の質よりも、その文字に込める「気」と「祈り」を大切にします。それこそが、相手の心に届く唯一のものだからです。どうぞ、この冬の贈り物を準備される際は、品物選びと同じくらい、あるいはそれ以上に、相手を想う時間を大切になさってください。その温かな想いこそが、相手にとって一番のギフトなのですから。

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