
過ぎ去る時を惜しみ、一瞬を大切に生きる
Cherish the passing of time and live each moment to the fullest.
選字の背景: 別れを惜しむ如く、過ぎる時間を慈しみ今日を往く。
一日の終わり、そして一年の終わりが近づくこの時刻、私たちは無意識に、過ぎ去るものに対して「名残(なごり)惜しさ」を感じます。「惜」という文字は、「心(忄)」に「昔(むかし)」と書きます。これは、過ぎ去って「昔」になってしまうものを、心が離れがたく思い、大切にすることを表しています。 「惜(お)しむ」とは、単にケチケチすることや、後悔することではありません。「寸陰(すんいん)を惜しむ」という言葉があるように、二度と戻らない時間をあまりにも尊く思い、手放すのをためらうほど深く愛することを意味します。私たちは普段、時間は無限にあるかのように錯覚し、無為に過ごしてしまいがちです。しかし、師走のこの時期になると、カレンダーの残り枚数が減るのを見て、ハッとさせられます。 この教訓は、残り少なくなった時間を焦るのではなく、散りゆく桜を愛でるように、過ぎゆく一分一秒を「もったいない」と感じるほどの感度で味わえ、と説いています。今年も残り僅か。どうぞ、焦燥感で塗りつぶすのではなく、去りゆく友と別れの一杯を酌み交わすように、一日一日を丁寧に「惜しんで」お過ごしください。