
暗闇があるからこそ、一筋の光の尊さに気づくことができる
It is because of darkness that we can appreciate the preciousness of a single ray of light.
選字の背景:鋭き芒の如く、意志を研ぎ澄まし好機を待て。
梅雨の走り、厚い雲が空を覆い尽くし、昼間でも部屋の隅に影が居座るような季節です。私たちはとかく「明るさ」を善とし、「暗闇」を避けがちなもの。しかし、この一文字は、闇が決して光の敵ではなく、むしろ光の価値を際立たせる「慈悲深い背景」であることを教えてくれます。本日、六月八日。降り続く雨に、視界も心も少しばかり「暗さ」を帯びてくる頃かもしれません。「暗」という文字は、左に「日」、右に「音」と書きます。これは、日が沈んで姿が見えなくなり、音だけが頼りになる静寂の状態を表しています。転じて、物事の道理が見えないことや、先行きが不透明な状況を指すようになりました。禅の世界には「暗合(あんごう)」という言葉があります。理屈を超えた深い場所で、目に見えない真理と一致することを意味します。私たちは光の中にいるとき、その光があることを当たり前だと思い、感謝を忘れてしまいます。しかし、一度深い闇――挫折や孤独、迷い――の中に放り出されると、今まで見過ごしていた小さな優しさや、自分の中に残っていた微かな希望が、まるでダイヤモンドのように眩しく輝き始めます。星が最も美しく見えるのは、太陽が沈んだ後の漆黒の夜です。人生の「暗い時期」は、あなたの瞳が本当の価値を見抜くための、大切な調整期間なのです。六月の湿り気と曇り空。もし今、あなたが何らかの「暗闇」の中にいると感じているなら、無理にそこから逃げ出そうとしなくて大丈夫。その暗闇に目を凝らしてみれば、普段は見えなかった「一筋の光」が必ず見つかるはずです。闇を知る人の瞳は、そうでない人の瞳よりもずっと深く、そして優しい光を捉えることができるようになります。