幻-MABOROSHI-

幻MABOROSHI

全ては移ろいゆく幻であると知り、執着の苦しみから解放される

Realizing that everything is a fleeting illusion frees you from the suffering of attachment.

選字の背景:実体なき幻を知れば、執着の苦しみは消え去る。

本日、六月十八日。梅雨の晴れ間の柔らかな光が、瑞々しい青葉を美しく透き通らせています。「幻」という文字を紐解くと、細い糸をねじって形を変え、人の目を惑わせる様子を表しています。そこから「実体がないもの」「まぼろし」という意味が生まれました。私たちは生きている中で、手に入れた財産や名誉、あるいは「こうでなければならない」という自尊心、過去の失敗への後悔など、多くのものに強く「執着」してしまいます。しかし、それらはすべて時の流れの中で刻一刻と形を変えていく、実体のない「幻」に過ぎません。私が幼い頃、長距離の選手として遮二無二トラックを走っていた頃は、目の前の勝敗やタイムに狂おしいほど執着していました。しかし、大学で禅と出会い、書の恩師のもとで墨をすり、己の内面と向き合う中で、ようやく気づかされたのです。どれほど輝かしい勝利も、どれほど深い挫折も、過ぎ去ってみればすべては一瞬の心の置きどころが見せた幻なのだと。禅の聖典には「如露亦如電(にょろやくにょでん)」という美しい言葉があります。この世のすべての営みは、草の葉に結ぶ儚い露のようであり、一瞬で夜空を駆け抜ける稲妻(電光)のようなものである、という教えです。この世のすべてが「幻」であると知ることは、決して虚無に沈むことではありません。「何一つとして、あなたを永遠に縛り付けるものなどない」という、大いなる自由への扉を開く智慧なのです。六月も後半へ。もし今、あなたが人間関係や未来への不安に胸を痛め、「手放せない苦しみ」を抱えているなら、少し視点を高く持ってみてください。それは本当に、あなたの魂を縛るほど重い実体を持ったものでしょうか。すべては移ろう幻だと微笑んで受け流せたとき、心にまとわりついていた重荷は消え去り、今この瞬間を軽やかに生きるための、本当の平穏が訪れるはずです。

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