
日々無意識に積もる心の垢(煩悩)を、丁寧に拭い去る
Carefully wipe away the mental grime (worldly desires) that accumulates unconsciously day by day.
選字の背景:心の垢を払い、本来の清らかな自分を保つ。
人里離れた水源の近くでは、雨上がりの濃い霧が木々を濡らし、しっとりとした静寂が広がっています。「垢」という文字は、土偏に「后(うしろ、おくれる)」と書きます。これは、皮膚の表面に取り残された古い角質や、衣服の裏側に溜まったちり、つまり「本来の健やかな状態のあとに残る、不要な汚れ」を表しています。仏教や禅の世界では、これを「煩悩(ぼんのう)」や「塵垢(じんく)」と呼びます。誰かを羨む気持ち、過去への執着、傲慢さ……。それらは特別な悪意がなくても、日々の忙しさの中で無意識に心へ積もっていくものです。禅の有名な言葉に、「時時に勤めて払拭せよ(じじにつとめてふっしきせよ)」という教えがあります。心という鏡は、放っておけばすぐに埃が被ってしまうから、毎日欠かさず磨きなさい、という意味です。汚れがつくのは、あなたが一生懸命に生きている証拠。大切なのは、汚さないことではなく、溜め込まずに「毎日、丁寧に拭う」ことです。六月の終わりが見えてきた今日。もし心が重く、何かにイライラしてしまっているなら、お部屋の掃除をしたり、温かいお風呂に入って深呼吸をしたりしてみてください。あなたの本質は、もともと一点の曇りもない美しい鏡のようなもの。日々、静かにその表面を拭う習慣を持つことで、あなた本来の清らかで優しい輝きが、いつでも世界を照らし出すはずです。