普 – AMANEKU –

普 AMANEKU 家禅 IEZEN.JP

真理は普遍であり、日常の只中にある

Truth is universal, and found in the midst of our daily lives.

ありふれた茶碗の 高台に宇宙を見る 真実は遍く(あまねく) 隠されてはいない  家禅 IEZEN

選字の背景: 仏滅の日に、特別なものではなく、ありふれた日常の中にこそ真理が遍在することを知る。

「普」は、「あまねし」と訓読みし、広く行き渡っている様を意味します。私たちは、悟りや真理といったものを、どこか遠くにある特別なもの、非日常的なものと考えがちです。しかし、禅の教えは、その見方を根本から覆します。真理は、私たちの目の前にある一切、このありふれた日常の風景の中にこそ、あまねく存在しているのだと。

詩は、日常的な道具である一つの茶碗に、広大な宇宙を見出す視点を描いています。茶碗を支える高台の、その小さな円の中に、私たちは森羅万象の究極の形である「円相」(えんそう)を見ることができます。特別な経典や難解な哲学書の中だけでなく、日々使う茶碗一つにも、宇宙の理が宿っているのです。

仏滅という日は、何か新しいことを始めるには不向きとされるかもしれません。しかし、それは、外に向かって何かを求めるのではなく、内に向かって、あるいは今ここにあるものに深く目を向けるべき日である、と捉えることもできます。「山川草木悉皆成仏」(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)という言葉の通り、山も川も草木も、この世のすべてのものが仏の姿の現れです 1。特別な場所や特別な日を待つ必要はありません。この「普」の一文字が示すように、真理は常に、誰にでも、どこにでも開かれているのです。

 

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