復-FUKU-

FUKU 復 ふく

本来の自己へと立ち返る(復本)

Returning to your true self (Revival).

選字の背景: 『「復」とは、迷いから離れ、真の己に還る道。

私たちは、成長するにつれ、知識や肩書き、あるいは世間体という多くの衣をまといます。しかし、時にその重みで身動きが取れなくなり、自分が本当は何者であったかを見失ってしまいます。この教訓は、そうした外側の飾りを一枚ずつ脱ぎ捨て、生まれたままの、無垢で清らかな「本来の自己」へと立ち返れ、と説いているのです。お釈迦様が菩提樹の下で見つけられたのも、どこか遠くにある新しい世界ではなく、雲が晴れた後に現れる青空のような、誰もが本来持っている輝き(仏性)への「復帰」でした。私もかつて、前へ前へと走り続けることばかりを考えておりました。しかし、今、筆を持ち、静かに呼吸を調える時、遠くへ行くことよりも、自分の足元、心の中心へと「復(かえ)」ることの尊さを知ります。冬は、草木が根に養分を戻す「復」の季節。どうぞ今日という日は、忙しない師走の歩みをふと止め、ご自身の心の故郷へと、静かに立ち返るひとときをお持ちください。

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