歴史に学び、今を生きる自らの座標を知る
Learn from history and find your own way of living in the present.
選字の背景： 過去を知り、今を知る。歴史は現在を映す鏡。
今、私達生きるこの日本の大地には、遠い縄文の昔から、人々が生を営んできた数え切れぬほどの「史」が眠っています。この足元に広がる時の重なりを感じる時、今という瞬間が、いかに多くの過去の上に成り立っているかを思います。「史」という文字は、物事を中正の立場で記録する役人の姿から生まれました。それは、偏ることなく、事実を静かに見つめる眼差しの大切さを示唆します。この教えは、歴史を単なる過去の出来事としてではなく、現在地を照らし出す「地図」として捉えます。私たちは、悠久の時の流れという地図の上に立つ、小さな旅人です。自分がどこから来て、どのような道を辿って今ここにいるのか。その軌跡を知らずして、自らの「座標」を確かめ、未来へ向かう一歩を踏み出すことはできません。それは、個人の人生においても同じです。私が現在まで歩んできた道も、今の私を形作る、かけがえのない私の「史」。その過去から学んでこそ、今をより深く、確かに生きることができるのです。書に例えてみても、書を学ぶことは、書の歴史を学ぶことでもあります。幾千年も続く先人たちが記した線の流れの中に自らを置くことで、今引く一本の線の意味を知る。歴史とは、今を生きるための、静かで、そして偉大な師なのです。