閉 -HEI-

閉 HEI へい 家禅 IEZEN.JP

門を閉ざし、自己の内面と深く向き合う時

Time to close the door and face your inner self.

選字の背景: 内なる自己と向き合うため、今は静かに門を閉じる。

日は短くなり、朝晩の空気は、特に肌を刺すような冷たさを帯びるようになってまいりました。自然と、家の戸を堅く閉ざし、温かな灯火(ともしび)のもとで、静かに過ごす時間が長くなります。「閉」という文字は、「門」の中に「才(閉ざすための閂・かんぬき)」がある様を示し、それは、外の世界との交流をいったん遮断し、内側を固く守る状態です。私たちは日常、常に外の世界へと門を開き、様々な情報や刺激を受け止め、それに対応することに追われています。しかし、この教訓は、時にはその門を自ら「閉ざす」ことの大切さを説いています。それは、他者を拒絶するためではなく、自分自身の「内面と深く向き合う」という、最も大切な時間を確保するためなのです。禅寺では、冬の間に「臘八(ろうはつ)接心」という、厳しい修行が行われます。まさしく門を閉ざし、不眠不休で坐禅を続け、自己の最も深い場所へと降りてゆくのです。外からの刺激を遮断して初めて、私たちは、普段は聞こえない自らの心の声、見えない内なる光に気づくことができます。この冬の静かな夜、外への門を閉ざし、ご自身の心の内に広がる、豊かな世界と静かに向き合うひとときを持たれてはいかがでしょうか。

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