一が万物の始まり。一瞬、一念の重要性
One is the beginning of all things. The importance of a single moment, a single thought.
選字の背景: 一粒万倍日。万物の根源である「一」の力を見つめる。
禅語における「一」は、単なる数字の始まりを意味するだけではありません。それは、あらゆる存在がそこから生まれ、またそこへと帰っていく、唯一絶対の根源を象徴します。この世の森羅万象は、姿形こそ様々ですが、その本質においてはすべて「一」なるものに繋がっている、というのが禅的な世界観です。
詩の後半、「茶杓の一滴に 天地を潤す力あり」は、「一滴潤乾坤」(いってきけんこんをうるおす)という禅語を踏まえています。達磨大師が中国にもたらした一滴の教えが、やがて全土を潤したように、たとえ小さくとも、純粋な一念や一つの行いは、世界全体を変えるほどの大きな力を持つ、という意味です。
今日は、一粒の種が万倍にもなるとされる一粒万倍日です。この日に「一」という漢字を掲げるのは、その根源的な力を再認識するためです。私たちは、自分一人の力は微々たるものだ、と考えがちです。しかし、この「一」の教えは、私たち一人ひとりが、宇宙全体と分かちがたく結びついた尊い存在であることを示しています。あなたの一言、あなたの一つの行いが、世界に影響を与えないはずはないのです。「一」の持つ無限の可能性に思いを馳せ、新たな一歩を踏み出す決意を固めたいものです。