顧-KAERIMIRU-

KAERIMIRU 顧 かえりみる

過去を顧みるのは、未来へ進むため

Looking back at the past is for moving forward to the future.

選字の背景: 前へ進まんがため、静かに来し方を顧みる。

一年の終わりが見え始めたこの時期、私たちは自然と過ぎ去った日々を振り返ります。「顧」という文字は、「雇(とりこむ、まもる)」に「頁(あたま)」を合わせた形から成り立ちます。それは、単に後ろを見るだけでなく、自分の背後にあるものを気にかけ、慈しみ、確認するために頭を巡らせる動作を表しています。「顧問」や「愛顧」という言葉があるように、そこには守り育てる温かな眼差しが含まれています。私たちは時に、過去の失敗や古傷を振り返り、後悔の念に足を止めてしまいます。しかし、この教訓は、振り返ることの真の目的は、停滞ではなく「前進」にあると説きます。弓を引く動作を思い浮かべてください。矢を遠くへ飛ばすためには、一度弦(つる)を大きく後ろへと引き絞らねばなりません。過去を「顧みる」とは、まさにこの、未来という矢を放つための「引き」の動作なのです。私が書において、書き終えた文字を振り返るのも、次に書く文字のバランスを定め、より善き流れを生み出すためです。反省とは、自分を責めることではなく、未来の自分への贈り物を探すこと。どうぞ、この静かな夜に、今年一年を優しく顧みてください。そこで見つけた気づきこそが、来年という未来を切り拓く、確かな力となるはずです。

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