鏡-KAGAMI-

KAGAMI

鏡開き。己の心を映し、慢心を打ち砕く

Kagami-biraki Reflecting one’s own heart and shattering pride.

選字の背景: 鏡開きは心開き。頑なさを捨て、神気を頂く。

本日、一月十日。乾燥した冬の風が吹き抜け、お供えしていた鏡餅(かがみもち)も、表面に細かなひび割れが入るほどカチカチに固くなっております。明日は、これを木槌(きづち)で叩いて開き、お汁粉や雑煮にしていただく日です。「鏡」という文字は、「金(かね)」に「竟(きょう・おわりまで)」と書きます。これは、最後まで曇りなく、対象の姿をありのままに映し出す金属の盤を表しています。古来、鏡は神の宿る依代(よりしろ)であり、同時に、見る者の心の底までをも映し出す恐ろしい道具でもありました。お正月の間、神前や床の間に飾られた鏡餅は、年神様の魂が宿る「鏡」そのものです。時間が経つにつれ、餅は乾燥し、硬くなります。 これは、私たちの心に似ています。放っておくと、経験や自信はいつしか「慢心(まんしん)」という硬い殻になり、柔軟さを失って頑固になってしまうのです。明日の鏡開きは、刃物を使わず、木槌で叩いて割ります。これは「切腹」を避ける意味もありますが、禅的に捉えるなら、凝り固まった自分の慢心やエゴを、ガツンと叩き割る修行とも言えます。 硬い殻を打ち砕いてこそ、その中にある神様の力(餅)を体に取り込み、新しい命として再生させることができるのです。どうぞ今日は、そのひび割れた鏡餅と向き合い、ご自身の心の中にも硬くなった部分がないか、そっと鏡に映すように点検してみてください。そして明日は、その硬さを勢いよく打ち砕き、柔らかく温かい汁粉として、身も心も溶きほぐそうではありませんか。

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