雁 – KARI –

雁 KARI かり 家禅 IEZEN.JP

故郷を思う心、還るべき場所への思慕

Longing for home, longing for a place to return to.

選字の背景: 雁の聲は、還るべき故郷を慕う心の旅路。

夕暮れ時の空がことに美しく感じられる、ちょうど今頃の季節、澄んだ空の遠くから、渡り鳥である雁の第一陣「初雁(はつかり)」の声が聞こえてくることがあります。列をなし、遥か北の故郷から長い旅をしてきたその声は、どこか哀愁を帯び、聴く者の胸に郷愁を誘います。「故郷」とは、一般的には、生まれ育った土地「還るべき場所」を意味しますが、しかし、禅では、この「還るべき場所」を、もう一つ深い意味で捉えます。それは、私たち一人ひとりの内にある「本来の自己」、すなわち心の故郷です。日々の暮らしの中で、私たちは様々な役割を演じ、喧騒に惑い、本来の自分から遠く離れてしまうことがあります。雁が自らの本能に従って故郷を目指すように、私たちもまた、静けさの中に立ち返り、心の故郷へと還る道を常に探し求める旅人なのかもしれません。雁の声が聞こえたなら、少しだけ空を見上げてみてください。それは、あなたの還るべき大切な場所を思い出させてくれる、天からの便りかもしれません。

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