兆-KIZASHI-

kizashi

小さな兆しを見逃さず、丁寧に対応する

Don’t overlook small signs and respond carefully.

選字の背景: 大事は小事より起こる。微かな兆しを見逃さず。

街は一見、冬枯れの景色ですが、目を凝らせば、枝の先には硬く小さな「春の兆し(冬芽)」が既に準備されていることに気づきます。「兆」という文字は、亀の甲羅を焼いて占いをした際に入った「ひび割れ」の形から生まれました。古代の人々は、その微細なひびの走り方を見て、吉凶という未来の「兆し」を読み取ろうとしたのです。また、数字の「兆(一兆)」も、数え切れないほど多くのひび割れや、事象の始まりを意味することから来ています。大きな事故も、偉大な成功も、決して突然現れるものではありません。必ずその前に、誰にでも見えるわけではない、ごくごく小さな「予兆」があるものです。 体調を崩す前のわずかな違和感、人間関係がこじれる前の些細な言葉の綾、あるいは筆が走る瞬間の微かな心の揺らぎ。そうした「亀の甲羅のひび」のような微細な変化を、「まあいいか」と見過ごすのではなく、立ち止まって丁寧に対応することの大切さをこの「兆」の文字は、思い起こさせます。 火種は小さいうちに消せばボヤで済みますが、燃え広がれば大火事となります。逆に、善き兆しは、小さいうちに守り育てれば、やがて大輪の花を咲かせます。忙しい師走こそ、心を落ち着け、周囲の空気や自身の内側の小さな声に耳を澄ませてみてください。未来は、今ここの「兆し」の中に、すでに語られているのです。

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