
努力の結実と、実りへの感謝
The Fruition of Effort and Gratitude for the Results.

選字の背景: 実りの秋の始まり。これまでの努力が形になる喜びと感謝。
九月は、稲穂が黄金色に輝き始め、様々な果物や作物が収穫期を迎える「実りの秋」です。この「実」という一文字は、自然の恵みそのものであると同時に、私たちの人生における努力の結果や成果を象徴します。
詩は、春の種まきから夏の育成を経て、秋の収穫へと至る、時間の経過と労苦の積み重ねを描いています。手にした果実のずっしりとした重みは、目に見える成果であると同時に、そこに至るまでの過程、すなわち「掌の上の真実」を感じさせます。結果は、決して偶然に生まれるものではなく、原因となる地道な努力があって初めて得られるものなのです。
禅の教えに「無功徳」(むくどく)という言葉があります。これは、見返りを求めて善行を積むべきではない、という戒めです。結果ばかりに囚われるのではなく、その過程こそが大切であると説きます。しかし、それは努力を否定するものではありません。むしろ、結果を期待せず、ただ無心に今為すべきことに打ち込む。その純粋な努力の先に、おのずと「実」は結ばれるのです。今日は一粒万倍日。これまでの努力が大きな実りとなることを感謝すると共に、見返りを求めず、ただ誠実に種を蒔き続けることの尊さを、改めて心に刻みたいものです。