応 – OU –

応 OU おう 家禅 IEZEN.JP

状況に応じて自在に変化する柔軟な心

A flexible mind that can change freely according to the situation.

選字の背景: 強さとは折れぬにあらず、しなやかに応じる心。

秋の空を見上げると、白い雲が風に応じ、刻一刻と形を変えながら、悠々と流れてゆきます。雲は、自らの形に固執しません。風という状況に応じて、ただ自在に、その姿を変えてゆく。この教えは、あの雲のような心の在り方を指し示しているようです。「応」という字は、心という文字を含みます。それは、機械的な反応ではなく、心の内側から、その状況にふさわしい答えを返すという、能動的な働きかけを示唆します。古の賢人は、理想の心の在り方を、しばしば水に喩えました。水は、器に応じてその形を変え、障害物があれば、それに逆らわず、しなやかに回り込み、やがては大海へと至ります。硬い岩は、強い力で砕くことができますが、水は、決して壊れることがありません。真の強さとは、鋼のような硬さではなく、水や雲のような、状況に応じることのできる、柔軟さの中にこそ宿るのではないでしょうか。書においても、紙の質、墨の濃淡、その時々の心の状態に応じ、筆の運びを自在に変化させてこそ、生きた線が生まれます。

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