
厳しい冬を乗り越える、内なる心の温もり
Inner warmth to get through the harsh winter.
選字の背景: 心に「炉」を持つ。その火が人生の冬を溶かす。
私の住まう古民家には囲炉裏(いろり)が設えてあります。師走も上旬を過ぎ、その囲炉裏に火を入れる季節となりました。外では北風が木々を揺らしておりますが、この「炉」の傍(そば)におりますと、体の芯から解きほぐされるような温かさに包まれます。人生には、どうしても避けられぬ冬の時代があります。孤独、失敗、あるいは病。そのような厳寒の嵐が吹き荒れる時、私たちを支えるのは、外からの慰めだけではありません。むしろ、自分自身の胸の奥深くに備わった、希望や情熱、あるいは人への慈しみという「内なる炉」の温もりこそが、凍えた心を蘇らせるのです。私が囲炉裏の炭火(すみび)を眺めていて思うのは、派手に燃え上がる炎よりも、灰の下で静かに、しかし赤々と燃え続ける熾火(おきび)の強さです。その静かな熱源さえ絶やさなければ、どんなに寒い冬も必ず乗り越えることができます。どうぞ、ご自身の心の炉に、静かな火を灯し続けてください。その温もりは、あなた自身だけでなく、そばにいる誰かをも温めることでしょう。