
歳月の流れに、諸行無常の理を観る
Seeing the impermanence of all things in the passage of time.
選字の背景: 過ぎる時を嘆かず。諸行無常の流れを静かに観る。
「歳」という文字は、元来、一年に一度巡ってくる「歳星(木星)」や、作物の収穫を表していました。それは、種が芽吹き、実り、やがて枯れて土に還るという、生命の円環そのものです。仏教の根幹にある「諸行無常(しょぎょうむじょう)」の教えは、この世のあらゆるものは絶えず変化し、一瞬たりとも同じ状態には留まらないと説きます。鏡に映る自分の顔、窓から見える景色、そして私たちの心。すべては「歳」という川の流れの中で、刻一刻と移ろいゆく泡沫(うたかた)のような存在です。私たちは、若さや安定を失うことを恐れ、流れに逆らおうとします。しかし、この教訓は、その変化こそが宇宙の「理(ことわり)」であり、真実なのだと観(み)よ、と語りかけます。散りゆく葉も、老いゆく身も、決して悲しむべき衰退ではありません。それは、大いなる流れの一部として、正しく変化している姿なのです。行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。この過ぎゆく「歳」を惜しむのではなく、その移ろいの美しさを、静かに愛でる心を持ちたいものです。