
与えられた環境で、己の生命力を最大限に繁茂させる
To maximize one’s life force within the given environment.
選字の背景:環境を言い訳にせず、今いる地で力強く生い茂れ。
本日、六月十五日。窓の外に広がる山々は、日に日にその緑の深さを増し、生命の息吹で満ちあふれています。「茂」という文字を紐解くと、草冠に「戊(ぼ)」が組み合わされています。「戊」はもともと、刃の広い大きな「成(まさかり)」のような武器を表す漢字ですが、同時に「満ちる」「盛んになる」という意味を持っています。つまり「茂」とは、ただ優しく草が生えることではなく、「大地を割って突き進むような、力強く圧倒的なエネルギーが満ち満ちている状態」を指しているのです。私がかつて、長距離の選手としてトラックを遮二無二走っていた頃。向かい風の強い日も、足元がぬかるむ雨の日もありました。また、大学で書道と禅に出会い、恩師のもとで寝食を忘れて墨をすり、筆を走らせていたときも、常に理想の環境ばかりが用意されていたわけではありません。しかし、どんな環境であっても「今、ここで全力を尽くす」ことだけが、私を前に進めてくれました。禅の言葉に「随処に主となる(ずいしょにしゅとなる)」というものがあります。置かれた場所がどこであろうとも、環境のせいにせず、自分がその場所の主人公となって命を輝かせるという意味です。日陰の湿った土であっても、苔やシダが美しく群生するように、植物は文句ひとつ言わず、与えられた環境の栄養をすべて吸い尽くして繁茂します。環境を選ぶことはできなくても、そこでどう生きるかは自分で決められます。不満を漏らすエネルギーを、すべて「根を張り、葉を広げる」ための力に変えるのです。六月の瑞々しい光の中。もし、今の仕事や人間関係など、自分の置かれた環境に理不尽さを感じているなら、あえてその場所で、誰よりも青々と生い茂ってみませんか。あなたがその地で圧倒的な生命力を放ち始めたとき、周囲の景色はあなたを中心に、美しく塗り替えられていくはずです。