備 – SONAERU –

備 SONAERU そなえる  家禅 IEZEN.JP

真の備えとは、心の準備に他ならない

True preparedness is nothing other than the preparation of your heart.

来るべき嵐にただ怯えるにあらず帆を畳み 錨を下ろし静かにその時を待つ 覚悟

選字の背景: 防災の日の翌日。昨日の「柱」を受け、より具体的な心の在り方としての「備え」を考える。

「備えあれば憂いなし」ということわざが示すように、「備」という行為は、未来の不確実性に対する人間の知恵です。しかし、この「備え」は、単に物を蓄えることだけを意味するのではありません。禅的な観点から言えば、真の備えとは「心の準備」、すなわち覚悟を定めることに他なりません。

詩は、嵐の到来を前にした船乗りの姿を描いています。彼は、ただ闇雲に恐れおののくのではなく、為すべきことを冷静に行い、来るべき時に備えます。帆を畳み、錨を下ろすという具体的な行動は、パニックに陥ることなく、状況を的確に判断し、受け入れる心の強さの現れです。これこそが、禅で言うところの「覚悟」です。

私たちは、老いや病、死、あるいは予期せぬ災厄といった、人生の「嵐」を避けることはできません。それらの可能性に対して過度に不安を抱き、心を消耗させるのは、賢明な生き方とは言えません。大切なのは、コントロールできない未来を憂うのではなく、コントロールできる「今」に集中することです。心を静め、何が起きてもそれを受け入れる覚悟を定める。その心の「備え」こそが、私たちを人生のいかなる荒波からも守ってくれる、最も確かな錨となるのです。

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