
自ら風を起こし、己の内なる熱(煩悩)を静める
To create one’s own wind and calm one’s own inner passion (worldly desires).
選字の背景:己の風で雑念を払い、静寂の境地を拓く。
初夏の陽光が、影を濃くし始めています。私たちはつい、心地よい風がどこからか吹いてくるのを待ってしまいます。しかし、人生の平穏を他者や環境に委ねている限り、心は常に外の状態に振り回されることになります。「扇」という文字を眺めてみてください。上部の「戸」は「とびら(ひらひらと動くもの)」を、下部の「羽」は「はね」を意味しています。自らの手で羽を動かし、風を呼び込む。それは、「自分の状態を、自分の力で調整する」という強い自律の姿勢を象徴しています。禅の世界では、心の揺らぎや我欲を「熱」に例えます。誰かに言われた一言にカッとなったり、思い通りにいかない状況にイライラしたりするのは、心に熱がこもっている証拠です。そんな時こそ、心の中に一枚の「扇」を広げてみてください。風を待つのではなく、自ら風を起こす。深く長い呼吸一つで、燃え盛る感情をそっと扇ぎ、冷ますことができるのは、あなただけです。五月の第二週が終わろうとしている今日。もし何かに熱くなりすぎていると感じたら、一度手を止めて、心の扇を動かしてみましょう。自ら生み出した一陣の清風が、煩悩の熱を鎮め、あなたの瞳に本来の冷静さと清々しさを取り戻してくれるはずです。