傘-KASA-

kasa傘

外の雨を嘆くのではなく、自らの心に傘を差し静寂を守る

Instead of lamenting the rain outside, find solace in your own heart.

選字の背景:雨音を調べに変え、己の内に穏やかな傘を広ぐ。

しとしとと降り続く雨が、街の色を淡く塗り替えていく季節です。予定が狂ったり、服が濡れたりと、この時期の雨はどうしても「厄介者」にされがちですが、この一文字は、外の天気に振り回されない、大人の「心の持ちよう」を教えてくれます。窓を叩く雨音は、どこか急ぎ足の日常を「少し休みましょう」と引き止めているようにも聞こえます。「傘」という文字は、大きな屋根の下に、幾人もの人が身を寄せ合っているようにも見えます。もともとは、長い柄の上に覆いを広げ、貴人を日差しや雨から守る道具でした。つまり「傘」とは、外部からの干渉を遮断し、「守るべき領域」を確保するための聖域の象徴なのです。禅の教えに、環境に左右されず、自らが主(あるじ)となって動く「随所に主となれば、立処(りゅうしょ)皆真なり」という言葉があります。外で降る雨(他人の言動や予期せぬトラブル)を止めることは誰にもできません。しかし、その雨に打たれてびしょ濡れになり、心を冷やすかどうかは、自分自身で選ぶことができます。心の中に一本の「傘」を広げる。それは現実逃避ではなく、何が起きても侵されない、あなただけの「静寂」という居場所を確保することです。六月の序盤、湿り気を帯びた空気に心が沈みそうになったなら、深く呼吸をして、内なる傘を差してみてください。傘を打つ雨音を、自分を苦しめる雑音ではなく、静寂を際立たせる心地よい調べとして聴く。そんな「心のフィルター」を持つことができれば、外の世界がどんなに嵐であっても、あなたの内側は常に凪(なぎ)のように穏やかでいられるはずです。

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